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2月, 2024の投稿を表示しています

使役魔

  とある世界のおはなし。  ある魔導士が『使役魔』を生みだすことに成功した。それは愚鈍だが、従順で力もつよく、なにより休まずに働く。  これをつかえば多くの人々が楽になる。そう思った魔導士はすぐ王に報告した。  王もこれを喜び、さっそく使役魔を増やすよう指示した。  国中の村で使役魔が使われるようになった。多くの農民が重労働から解放されて喜んだ。  ところが、しばらくすると貧しい農民が増えた。  これまで10人でやっていた仕事を、3人と使役魔1匹でおこなえるようになったので、7人の農民が仕事を失った。  これが国中でおき、貧しさから強盗となる者もいた。国民はいつ襲われるかと不安のなかで暮らすようになった。  そこで王は、仕事を失った者のため新たな農地を開拓するよう指示した。  そのための使役魔も生みだされた。  新たな使役魔は森を切り開き木々を運んだ。多くの貧しい民も参加し、またたくまに農地は広がっていった。  新しい土地で新たに農作業もはじまり、農業用の使役魔もさらに用いられた。おかげで国の収穫量はどんどん増えていった。  ところが、しばらくすると貧しい農民が増えた。  収穫量が増えても1人が食べる量は変わらない。食べきれないものを買う人はいない。だから農作物が売れない。売れないと腐り、捨てることになるので、安くても売ろうとする。  すると今までと同じように働いても儲からないので貧しい農民が増えたのだ。  貧しい者が増えると生きるため強盗する者もいた。国民はいつ襲われるかと不安のなかで暮らすようになった。  そこで王は、農作物を他の国に売るよう指示した。わが国では余っていても、たりない国は高くで買ってくれる。  そのための使役魔も新たに生みだされた。  新たな使役魔は大量の荷物を遠くまで運ぶことができた。ただ愚かで計算はできないので、誰かが一緒に行って代金を計算し受けとる必要はあった。  受け取った代金でその国の珍しいものを買い、帰りも使役魔が運び売った。  他国からお金や物が流れ込み国民は豊かになった。  この新しい仕事は儲かるので、農地を手放してもその仕事につく者が増えた。  手放された農地はべつの農民が買ったが、少ない人で広い畑を耕せるよう農業用の使役魔も増えた。  こうして国中が豊かになったが、人々は休む間もなく働いたため、だんだん疲れて元気がなくなった...

たどりついた先

 とある世界のおはなし。  貧しい農家の末っ子として生まれた少年は旅立った。せまい畑を兄弟で分けると食べていけないので、出ていくしかなかった。  少年は豊で楽して生きている場所を探そうと考えていた。  たどりついた村はなかなか大きく豊だった。そこで小作(土地を借りて耕作すること)として働くことにした。  その村では他所から来る者は珍しいらしく少年は警戒されたが、まじめに働いていると『ああしたほうがいいよ』『こうしたほうがいいよ』と村人もなにかと世話をやいてくれた。  慣れるとなかなか住みよい場所だが、小作料を払うと手もとにはわずかしか残らず生活は楽ではない。  そこでもっと別の場所に行こうと村を出た。  次にたどりついた村は前の村よりも、さらに大きく豊かだった。ここならもっと楽できるだろうと思い、小作として働くことにした。  そこは豊かな場所なので人も多く、子供や年寄り、もとの住人、移住してきた人々、様々な人がいて、他所から来た少年を気にする者もいなかった。  しかし人が多いと考え方や習慣も違うので、それらをまとめるため『あれをしてはダメだ』『これをしてはダメだ』となにかとルールも多かった。  収穫が多く小作料を払っても十分に生活できたが、多すぎるルールを気にしながら生きていると、だんだん陰鬱な気持ちになっていった。  そこでもっと別の場所にいこうと村を出た。  どこか良い場所はないかと探していると、新しい島が発見され移住者を募集していた。  少年はさっそくそこに移住した。そこは自然豊かで気候もよい。最近移住してきた者も多かった。  しかし暮らしていくために必要なものはなにもない。ルールもない。すべて自分たちで作らなければならない。  まず森の木を伐り家を建てた。狩りをしながら空腹を満たした。  その間に農地を開拓し、水をひき、畑を耕し、種をまき……休んでいるヒマなどなく、いつも足りない物ばかり。失敗も多く楽をするヒマなどなかった。  くじけて帰る者もいたが、残った者は力をあわせ『ああしたら上手くいくのでは』『こうすればもっと良くなるのでは』と知恵をだしあい協力しあった。  楽をしたいとか考える余裕もなかった。  みんなで必死に働いたので、徐々に農地も広がり、収穫量も増え、生活も安定していった。少年もいつしか青年となり、結婚し子供も生まれた。  子供たちが大きくなる...

森のリーダー

 とある世界のおはなし。  その森では動物たちが仲良く暮らしていた。住みよい森なので数も増え、色々とまらなくなっていった。  そこで動物たちは神様に『この森にリーダーを授けてください』と願った。神さまはそれに応えフクロウを森に送った。  フクロウは賢く、優しく、森のみんなが納得する方法を考えた。しかしすべての動物が納得する方法など簡単には見つからず時間だけが過ぎる。  そんなリーダーに動物たちは『いつも時間ばかりかかって何も決まらない』と不満をつのらせ、フクロウは自信をなくして昼間はでてこなくなった。  そこで動物たちは神様に『この森にリーダーを授けてください』と願った。神さまはそれに応え次はサルを森に送った。  サルは賢いが、せっかちなので思いつくままに決めた。おかげで何でもすぐ決まるが、説明もなく失敗も多かった。  そんなリーダーに動物たちは『説明なく失敗ばかり』と不満をつのらせ、サルは自信をなくして木の上からおりてこなくなった。  そこで動物たちは神様に『この森にリーダーを授けてください』と願った。神さまはそれに応え次はカエルを森に送った。  カエルはケロケロとよく通る声でいつもみんなに説明した。森の動物たちも聞きほれ、これなら安心だと思ったが、説明するばかりでなにも決めない。  そんなリーダーに動物たちは『聞き心地がいいだけだ』と不満をつのらせ、カエルは自信をなくして水の中に潜ってしまった。  そこで動物たちは神様に『この森にリーダーを授けてください』と願った。神さまはそれに応え虎を森に送った。  虎は自分が一番だと自信満々。誰の言うことも聞かず、思うままに決め、なにも説明しなかった。おまけにみんなのことなど考えず、いつも自分が一番。  そんなリーダーに動物たちは『自分勝手でわがまますぎる』と不満をつのらせたが、虎は『文句をいう奴はいらない』と食べてしまった。  おかげで森の動物たちは怖くてなにも言わなくなった。前のリーダーたちに帰ってきてほしいと思いながら、いまでも虎から逃げてこっそり暮らすようになったとさ。

貧乏幽霊

 とある世界のおはなし。  どうにも上手くいかない男がいた。仕事もクビになり、貯金もなく、頼れる者もいない。このままでは家賃も払えずアパートを追いだされてしまう。  明日からどうしようと悩んでいると、押し入れから妙な気配を感じた。  開けてみると何ともみすぼらしい奴がいた。『貧乏神!』と思ったが『ただの幽霊です』らしい。  男の前の前のそのまた前の住人のころからいたが、気づかれたのは初めてで、誰も気づいてくれないので供養されることもなく、成仏できずここにいると。  そこで男が『オレが祈れば成仏するのか?』と聞くと、祈りを重ね幽霊が満たされれば成仏できるらしい。たまにお供え物をしくれると嬉しくて満足しやすいとか。  これも何かの縁だとは思ったが、自分が食べるものもない。それを幽霊に伝えると、フイと姿を消してしまった。  幽霊にも見捨てられたかと思い、男はそのまま寝ることにした。  その夜、男の枕元にあの幽霊が現れた。とある料理店が店員を探している。店長の腕はいいのだが給料が安いので人手がたりない。今なら雇ってくれるだろうと告げ姿を消した。  翌日、男は幽霊にいわれた料理店にいくと、すぐに雇ってくれた。  古ぼけた小さな店でぱっとしないが、愛想のいい店長で客もいる。ただ『美味しいものを安くだしたい』と儲けが少ない。だから給料も安かった。しかし毎日まかないをだしてもらえるので、食事の心配はしなくてすんだ。  幽霊のおかげでなんとか生活できるようになったので、男は美味しいものでもお供えしようと買って帰ると『あっちのスーパーのほうが安い』『夕方は賞味期限が近いもが安くなるからそれを買え』『あそこの店長は3回値切ると値引きする』と貧乏くさいことをいってくる。  せっかくお供えをと喧嘩になったが、しだいに安く買う知恵はついていった。  料理店で働きはじめてしばらく、仕入れを任されるようになった。さっそく幽霊に相談すると安い仕入れ先を教えてくれた。  これまでより仕入れが安くですむので儲けが増え、よろこんだ店長は男の給料を上げることにした。  男も嬉しくて幽霊に報告したが『たまたま私が知っていただけだ』『お前の実力ではない』『分不相応な金は身を亡ぼす』と反対する。それではお互いいつまでも貧乏だと喧嘩になったが、翌日、店長に給料は上げなくていいと告げた。  すると店長は『なにかの役に...

竜の沼

 とある世界のおはなし。   森の中に大きな沼があった。木々に囲まれ昼でも暗く、いつしか人食いの竜が住むと云われるようになった。  これを耳にした王子様は「面白い!」とわずかな手兵をつれて沼に向かった。  しばらく沼のほとりで過ごしたが、竜は現れる気配がない。  ただの噂だったと引き上げることになったが、城に帰らず近くの村へと向かった。  その村は乾いた土地を耕す貧しい村だった。  王子様は村長に竜を見た者を探すよう指示した。しかし、あいつに聞いた、こいつに聞いたと、見た者はひとりもいなかった。  そこで王子様は命令した。 「竜はいない、恐れることはない。ならばあの沼から水を引けば村が豊かになる。その水路を造る工事のために村人は協力しろ」  しかし村人たちは、本当に竜がいたら大変だ、竜を怒らせれば命はないと恐れ、誰ひとり工事に協力しようとしなかった。  そこで王子様は城から兵たちを呼びよせ、竜が現れても村人を守れるようにした。  そしてあらためて村人たちに水路の工事に協力するよう呼びかけた。  すると村人たちは、竜は退治できるかもしれないが祟りが怖い、あれは悪魔の化身だから人の武器では倒せないのではと言い、誰ひとり工事に協力しようとしなかった。  そこで王子様は偉い神官を呼びよせ神事をおこない、竜の祟りがないように祈らせた。  そしてあらためて村人たちに水路の工事に協力するよう呼びかけた。  するとさらに村人たちは、冬に食べる保存食をつくる時期だから時間がない、水路ができても冬に飢え死にしたら意味がないと言い、誰ひとり工事に協力しようとしなかった。  しかたなく王子様は城に備蓄されている食料を取り寄せ、保存食をつくらなくとも冬を越せるようにした。  そしてあらためて村人たちに水路の工事に協力するよう呼びかけた。  そうなると村人たちは、本当に工事は成功するのか、水路をつくると沼の水が枯れるのではと言い、誰ひとり工事に協力しようとしなかった。  さすがに王子様も呆れ、工事に協力しない者には罰を与えると御触れをだした。  これに村人たちも反発し、今のままでも自分たちは幸せだ、なぜこんな工事をする必要があるのかと大騒ぎした。  村長は慌ててなだめようとしたが、みんなで反対すれば怖くないと王子様に詰め寄った。  王子様はその集団を見わたし、面白がって騒ぎを煽る者を見つけだす...

三方一様に得

  とある世界のおはなし。  山あいに小さな村があった。実は忍者の里で、殿様から命令が下れば村人たちは忍者となって働いた。  村人たちもそれに誇りをもって日々研鑽を怠らなかった。  その村の村長である忍者の頭領は、先代から後を継いだばかりの長身でひょろりとした、どうにも頼りなげな男だった。  その頭領のもとに忍者の亀助が怒鳴りこんできた。 「頭領! よその忍者を雇ったとの噂は誠ですかぁぁぁぁぁぁぁ!!!」  頭領はその迫力に面食らったが、気をとりなおして『今回の任務は危なそうだから、お前たちに何かあったら困るだろ』と答えた。  亀助は『忍者の仕事に危険はつきものです!』『忍者が忍者を雇うなど恥ずかしい!!』『頭領には忍者の誇りはないのですか!』と大声でまくし立てた。  そして自分がその任務を果たす、よその忍など必要ない、と頭領が止めるのも聞かず出ていってしまった。  その任務というのが、近国の領主の暗殺だった。しかしこの領主、とにかく用心深いことで有名で、そうそう成功するとは思えない任務だった。  頭領はどうしたものかと秋の空を見あげた。  それから数日たった夜、亀助は近国領主の城にいた。  ちょうど収穫の時期で城に年貢が運ばれてくる。その荷にまぎれて忍び込み、日が暮れて動き出したのだ。  黒装束が溶ける暗い夜だ。物陰にひそみ周囲をうかがった。まず領主がどこにいるか探さなければならない。 「亀助さ~ん」  ふいに背後から声をかけられ、亀助は飛び上がるほど驚いた。振り向くとヘラヘラした忍者少女がいた。 「頭領の命令で、ひと月ほど前からこの城に女中として潜入してます~。亀助さんが来たらご案内するよう仰せつかってます~。よろしくお願いします~」  亀助は頭領の心使いに泣きそうになったが、今はその時ではないとグッとこらえ、先を行く少女の後を追った。  少女は『内緒ですよ~』と云いながら三ノ門、二ノ門をこえる秘密の抜け道をくぐった。  あまりに無造作に進むので亀助はあわてたが『見回りが交代時間だから誰もいませんよ~』と気にする様子もない。その言葉通り何ごともなく本丸近くまでたどり着いた。  しかし亀助は気づいていなかった。時おり少女から笑みが消え、背後に鋭い視線を送っていたことを。  さて、本丸付近まで来ると館の前に屈強な兵がいる。これを避けて入るのも容易ではない。 ...

黄金の女神像

 とある世界のおはなし。  少年は両親が残した小さな畑を耕して暮らしていた。だが毎日おなじことの繰り返しに飽き飽きしていた。  そんなある日、王様がお触れをだした。 ~伝説に語られる『黄金の女神像』を見つけた者を姫の婿とする~  少年の心は沸き立った。急いで家に帰ると仕度をはじめた。  隣に住む少女が異変を感じやってきた。幼馴染で、いつもケラケラ笑う明るい娘だ。  少年が『黄金の女神像』を探しに行くと言うと、少女は『誰も見たことがない物をなぜ探しにいくの』と怒り出した。  『黄金の女神像』は海の彼方にそびえる山の頂にあり、見た者は誰もいないと云われる。だが少年は止まらない。 「もし姫様と結婚したら、お前を城の小間使いにして一生こき使ってやるからな」  そう言い残して旅立った。  まず街にむかった。旅に必要な物を買い足すためだ。  街は高い石壁に囲まれ大きな門からでないと入れない。その門には常に衛兵がいて通る人々を監視している。  少年が通ろうとすると、同じ年頃の大柄で強そうな衛兵が声をかけてきた。 「農民がひとりで街にくるなんて珍しいな。どうしたんだ?」  少年が『黄金の女神像』を探しに行くためだと答えると、衛兵は『誰も見たことがない物をなぜ探しにいく』とフフンと笑った。 「もし姫様と結婚したら、お前を城の小間使いにして一生こき使ってやるからな」  そう言い残して立ち去ろうとすると、衛兵は自分も行くと言いだした。  門の前で通る人々を監視する、毎日おなじことの繰り返しに飽き飽きしていたが、仲間と旅ができれば面白いかもしれないと。  『黄金の女神像』は早い者勝ちという約束で、2人は一緒に旅立った。  少年と衛兵は街をでて山に入った。強そうな衛兵がいるので山賊に襲われることもなく進んだ。  しかし山はいくつにも連なり簡単には抜けられず、野宿を繰り返しているうちに食料も尽きてしまった。  空腹で座り込む2人に、同じ年頃の細身で俊敏そうな狩人が声をかけてきた。 「農民と衛兵がこんな山奥にいるなんて珍しいな。どうしたんだ?」  少年が『黄金の女神像』を探しに行く途中で食料が尽きたと答えると、狩人は『誰も見たことがない物をなぜなぜ探しにいく』とニヤニヤと笑った。 「もし姫様と結婚したら、お前を城の小間使いにして一生こき使ってやるからな」  そう言い残して立ち去ろうとすると、狩人...

三匹のこねこ

 とある世界のおはなし。  お母さん猫と3匹の子猫がいた。ある日お母さん猫が言った。 「ここは食べ物が少ないから皆は生きていけない。お前たちはここを出て幸せをお探し」  そこで3匹の子猫はそれぞれに旅立った。  はじめに旅立った子猫は豊かな森にたどりついた。そこは食べる物にも困らず、木々が雨風から守ってくれる。 「なんて素敵な場所なんだ。ぼくは幸せものだ」  子猫はお腹がすいたら狩りをし、お腹がいっぱいになったら寝て過ごした。おかげで丸々太った猫になった。  そこに腹ペコ狼がやってきた。狼は丸々太った猫を見つけると舌なめずりをした。 「狼さん、ぼくを食べてもまたすぐお腹がすくよ。それより仲良くすごそうよ」  丸々太った猫は必死でうったえたが、腹ペコ狼の耳には届かない。  そしてあっという間に食べられてしまった。  次に旅立った子猫も豊かな森にたどりついた。そこも食べる物にも困らず、木々が雨風から守ってくれる。 「なんて素敵な場所なんだ。ぼくは幸せものだ。がんばってこの森の王様になるぞ」  子猫はお腹がすいたら狩りをし、お腹がいっぱいになったら体を鍛えた。おかげで強い猫になった。  そこに腹ペコ狼がやってきた。狼は強い猫を見つけると舌なめずりをした。 「狼さん、ぼくは強いからやっつけちゃうよ。それよりも仲良くすごそうよ」  強い猫は話しかけたが、腹ペコ狼の耳には届かない。  しかたなく強い猫は戦ったが、猫がどんなに強くても狼には勝てない。あっという間に食べられてしまった。  最後に旅立った子猫も豊かな森にたどりついた。そこも食べる物にも困らず、木々が雨風から守ってくれるが、森の奥には虎が住んでいた。 「なんて素敵な場所なんだ。ぼくは幸せものだ。でも虎さんは怖いな、仲良くなれないかな」  子猫はお腹がすいとき以外も狩りをし、せっせと虎のもとに獲物を運んだ。おかげで虎と仲良しになった。  そこに腹ペコ狼がやってきた。狼は虎と仲良しの猫を見つけると舌なめずりをした。 「狼さん、ぼくは虎さんと仲良しだから、ぼくを食べようとすると虎さんが怒るよ。それよりも仲良くすごそうよ」  虎と仲良しの猫は一生懸命説得したが、腹ペコ狼の耳には届かない。  しかたなく虎と仲良しの猫は虎に助けを求めた。狼も虎にはかなわない。あっという間に逃げてしまった。  それからも虎と仲良しの猫は、虎のもとに...