お金の好きな王、子供の好きな王
とある世界のおはなし。
お金の好きな王様がいました。城の中に貯められたお金を眺めて、いつも嬉しそうに笑っていました。
そしてもっと貯めたくて、なにかと理由をつけて民からお金を取り立てます。
道をつくるからと税を取り、耕作地を広げるからと税を取り、城をなおすからと税を取りました。
でも道をつくり終わっても、別の道をつくるからと税を取り続けます。
耕作地を広げ終わっても、別の耕作地を広げるからと税を取り続けます。
城をなおし終わっても、別の場所をなおすからと税を取り続けます。
それどころか、また別の理由で新しい税を取り立てます。おかげで民は、どんなに働いてもほとんど税で取られてしまいます。
これでは勤勉で働き者の民たちも疲れてしまい、どんどん国を捨てて逃げてしまいました。
おかげで民は減っていき、王に納められる税も少なくなっていきます。
「民が減ってはお金が貯まらないではないか! もっと民を増やさねば」
そこで外国から人を呼び込めば民が増えると考えました。外国から人が来やすいように、3年間は無税にしました。
その費用を賄うため、また新たな税を取り立てました。
おかげでさらに民は逃げ出し、どんどん人は減ります。
また外国から来た人たちも、無税の期間が終われば国に帰っていきました。
結局、この国は民が減り、税を納める人がいなくなり、王様は貧しくなってしまいました。
一方、逃げ出した民が移り住んだ先の王は、とにかく子供が好きな王でした。子供たちが幸せに暮らせるよう考えていました。
親も子育てで働けないだろうと、国庫を開き援助しました。おかげで親たちは安心して子育てできます。
だからどんどん子供が増えていきました。
10年後、20年後、その子供たちも大人になり、一生懸命働きます。ひとりひとりが納める税はわずかでも、たくさんの人が納めればたくさんのお金になります。
また若い人ほどよく働き、よく買い物もするので、国全体が活気のある豊かな国になっていきました。
王は増えた税収をまた子供たちのために使い、また人が増え、豊かになり、気が付けば周辺でいちばん大きな国となっていました。
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